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畳8畳

狭いですがゆっくりしていってください

遺伝子学から読み解く自由の定義

分子学者であり生物学者でもある福岡伸一先生。

彼のシビれる考え方を、僕なりの解釈を加えながら意訳メモ

 

DNAの基礎

 

メタファと環境変数

  • 遺伝子は、鳶が鷹を産まないようにしているだけで、どんな鳶になるかは環境が決めている。
  • 塩基ATGCを楽譜に例えるのなら、我々には楽譜だけが与えられていて、どんな風に演奏するかは「どんな空気」を吸って「どんな刺激」受けて「何」を見たか等環境で決まっていく。ピアニッシモ、ピアノ、メゾピアノ、メゾフォルテ、フォルテ、フォルテッシモ等、楽譜には様々な記号があるが、それが変数だと捉えたらいい。全てはインプロビゼーションの様である。
  • 子は親に似ると言う言葉があるが、それは違う。どんな変な親でも、ちゃんと子は育つ。それは環境が左右してくれるから。

 

遺伝の呪縛と解放 イギリスのEU離脱から考察できる「人間」の本質

  • 人は長い歴史の中で唯一遺伝子の呪縛から脱することが出来た生物である。遺伝子の呪縛とは「争え・奪え・縄張りを作れ・そして自分だけが増えよ」という事。つまり利己的な命令。コレに対して、争うのではなく協力し、奪うのではなく分け与え、縄張りをなくして交流し、利己的ではなく共生すること、遺伝子の呪縛からの自由にこそ、新しい価値を見出した初めての生命体「人」である。
  • 種に奉仕するよりも、個と個を尊重する生命線 国境という人工的な線をなくし、人々の往来と交流を促進し、共存を目指したのがEUの理念であったのなら遺伝子の束縛から一歩踏み出した生命線に適っていた。

  • イギリスがEUから離脱したことを特別に重視してはいない。なぜなら生命の動的平衡とは、沈めようとすれば浮かび上がり、押せば押し返すもの。人は遺伝子を発見し、その命令を読み解いた上でそこから脱する事の価値に気づいた。遺伝子の成せる技だとすれば…、遺伝子はこう言っているのかもしれない。生命よ自由であれ。と。

 

動的平衡 *1

  • 遺伝子とはOSであり、このOSは残念ながら個を大切にしていない。種を大切にしているのだ。しかし「怠けようが、早く死のうが自由である」と、人は個の自由発見した。
  • 人は遺伝子を越えていく。戦え蹴落とせは原始的なものだ。個体は豊かな人生を歩めると気づいたのも人間だ。
  • 生か育ちか。と問われれば、自分(福岡氏)は遺伝子学者だが「育ち」のほうが大きいファクターだと思っている。
  • 動的平衡は私達の個体のあり方である。流体のようなもので、入ってきた食べ物は常々分解しているので、昨日の私と今日の私は物質的に違う。分子が入れ替わっているのだ。

 

人間の自由 - 感想 -

過去に拘るということは愚かなことだ。虫や動物は約束を守らない。自戒しない。途中で死を選ぶ動物は人間以外に在るだろうか。


現代の人間は、本来持っている遺伝的命令「争え・奪え・種を残せ」に従っていない。環境作用に寄ってコントロールされている生命体が僕らの現状だ。

遺伝子は不自由で、個は自由。複雑な状況だ。

僕らは自由な個体で自由な状況下にいると思っているが、それを取り巻く環境が、僕らをコントロールしている。取り巻く環境は巨大なコンセプトによって動いている。この一度決められた概念は根深く、歴史あるものだ。

 

複雑に絡み合った根深い歴史ある概念を変えるには、作られた時間にこそヒントが有る。当時の人々が実証できなかった抽象的な物事と限られたコミュニケーション。これが変革のためのキーワードになるだろう。善か悪か。バイアスを壊し、コンセプトリメイクで大義を動かすことが唯一の社会変革の希望であることは間違いなさそうだ。

 

参考文献:TBSラジオ朝日新聞 2016/6/21

*1:ルドルフ・シェーンハイマーの提唱した「生命の動的状態(dynamic state)」という概念を拡張したもの